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「お互い愛情なんてものは必要なかったんです。
だから俺と葉月の間には何も生まれることはないまま…俺たちは津川映見と出会いました」
「…………」
「天真爛漫で…けれど強い芯を持ち、逞しくそして真っ直ぐに生きている彼女に惹かれたのは…俺よりも葉月の方が先だった。
きっと映見も心のどこかで葉月の秘めたる過去に気づいているんだと思います」
無性に自分が情けなく感じた。
俺は葉月のそんな闇の部分に気づいてあげることなんて出来なかった。
ただ…彼女のうわべだけの笑顔しか見ようとしていなかった。
そしてこの現実は自分の過去を悲観して全てから逃げていた自分の弱さを見せつけられた、そんな気さえする。
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