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「楠田部長は優しいから…おそらく葉月の過去を彼女から打ち明けられたら、その泥沼から救ってあげたいと思うでしょう。
けれどそこから俺たちが這い上がる事は無理なんです。
ただ…黙って受け止めて欲しい。それだけです」
そう言って黒田君は静かに瞼を伏せた。
それを見つめながら俺は思う。
ずっと黒田友哉という男はハングリー精神で頂点を目指しているとばかり思っていた。
けれど本当は違う。
この男が求めているのは、ただひとつ。
津川映見と生きる穏やかな未来───。
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