1283人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
そして冴子はそれに気づいているのだろう。
ポツリと言葉を漏らした。
「あの子の気持ち…受け入れるつもりはないの…?」
「あの子って誰のことかしら?」
「…そうやってまたとぼけるつもり?」
「またって…アタシそんなにとぼけてばかりだった?」
逆に問いかけた俺に冴子は失笑しながら瞼を伏せる。
「ねぇ歩…私は龍都とは、やり直さないつもりよ。
だけど彼も私とやり直したいなんて思ってないわ。
それに…龍都はもう歩を憎んでなんていないと私は思う」
「そうかしら?アタシはそうは思わないわ。
龍都がどれだけプライドが高いのか冴子は分かってないのよ。
それからあんな男との結婚生活を続けるより龍都の傍にいる方が冴子は絶対に幸せになれるわよ。
いつまでもお互いに意地張ってないで素直に向き合いなさい」
最初のコメントを投稿しよう!