Act.28 Side Ayumu

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───それはまだ10月半ばのある夜のことだった。 百夜通いを始めた瀬那川と津川映見の二人と会社のエントランスで別れた俺と葉月は会社からほど近い場所にあるショットバーで酒を酌み交わしていた。 「だけどさー、瀬那川ってホントに映見に惚れこんでるよねー。 なんか初めて映見を羨ましいって思ったわー」 ソルティドッグの5杯目を空けながら肘をついてぼやく葉月に俺は今日もこの仮面をつけて向き合う。 「あら、葉月ちゃんだってその気になればいくらでも男なんているんじゃないの?」 「…その気になればね。 だけどその気になれるオトコがいないんだから仕方ない。 あ、マスターおかわり」 アッサリとそう言い放った葉月は、空になったグラスをマスターに見せ6杯目のソルティドッグを注文した。
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