Act.29

32/33
1104人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
そしてそれを裏付けるように、続いた沈黙を蓮都の哀しい言葉が打ち破る。 「あの人には…映見しかいないんだ」 「だけどそれは私が決めることで…」 「ごめん…まだ眠りたい。だからもう行ってくれないかな」 私の言葉を遮り、まるで突き放すような彼の声に、もう何も言えなくなった。 何故蓮都がこんなことを言うのか薄々わかってはいても、今の彼に何を言っても受け入れて貰えない気がする。 無言のまま椅子から立った私を彼の哀愁を帯びた瞳が見上げると、そのままゆっくりと瞼を閉じて行く。 この瞬間、私と瀬那川の100日ゲームは終わりを告げたのかもしれない。 深草少将の99日にも及ばないまま…。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!