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閉じた扉を見つめながら俺は深いため息をつく。
わかってる。だけど……。
───もう遅い。
けれど兄貴が今、何を思い、何を考えているのか俺にはわかった。
きっと兄貴は……冴子さんを取り戻しに行くのだろう。
ずっと立ち止まったままだった兄貴が、そこから歩み出してくれたのは嬉しいことであり祝福すべきことだ。
しかし俺は……。
ここからどうやって歩み出せばいいのか…。
その術を見つけることが出来ないままだった───。
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