Act.32

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「自発呼吸が回復しました。 このまま呼吸が安定してくれれば、きっと持ちこたえることが出来ると思います」 その言葉に危うく私まで崩れ落ちそうになった時、私の隣に戻っていた小雪さんが脱力したように床に座り込んでしまった。 「小雪さん…良かったね!」 思わず彼女の手を握りしめて言った私に、彼女は涙をこぼしながら繰り返し頷く。 そんな小雪さんの姿を、やはり瞳を細めて見つめた友哉がゆっくりと彼女に歩み寄った。 「弟をどうか…よろしくお願い致します」 「……っ……」 思いもよらない言葉だったのだろう。 小雪さんは言葉を詰まらせながら友哉を見た。
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