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「お腹の子供は、亮平の子…ですよね?
けれどあなたはそれを瀬那川君の子だと亮平に言った。
違いますか?」
友哉の問いかけに小雪さんは黙ったまま小さく頷く。
その姿を穏やかな表情で見つめながら友哉は言った。
「亮平は子供が好きで…ガキの頃からコイツの夢は、ずっと学校の先生でした。
このお腹の子が亮平の子だと正直に打ち明ければ、きっと彼は全力であなたを守ってくれると思います。
だからもう…瀬那川君を巻き込んではいけません」
「…………」
「親の期待が大きすぎたばかりに、子供の頃から自分たちには自由というものがなかった。
しかし、小雪さんには特に辛い経験をさせてしまった。
だから自分がご実家から離れることで父親に自分たちの思いを理解させ、小雪さんもその鳥かごから飛び出して欲しかった…。
…これはあなたのお兄さんの勇太郎さんの言葉です」
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