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「それと……。
黒田君の真実を見て、俺も自分の歩んで来た人生から目を背けるのも、そして葉月の気持ちから目を背けるのも辞めることにした」
「え?」
意味が分からないと言いたそうな葉月に楠田部長は柔らかく笑うと、彼女の手を取り自分の胸に押し当てる。
そして葉月を真っ直ぐに見据えその言葉を放った。
「だから……俺と結婚してくれ」
「…………」
「君を愛している」
あんぐりと口を開けて固まる葉月に、私は吹き出しそうになりながらも必死に堪えた。
そしてようやく思考がこの状況に追いついたのか、葉月はクシャっと表情を歪めると、力を失ったように楠田部長の膝に額を落とす。
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