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西関東監察医務院の談話室。
業務上殺伐としやすいせいだろうか。オープンスペースの談話室には観葉植物が置かれ、大きめの窓から中庭の樹々が見渡せる。仕事柄、深刻な話を来訪者に告げなければならない場合も多いが、それでも敢えてこの場所を選んで話をする人間も多い。
森村舞玖はこの場所で紅森刑事と黒夜叉兄弟を待っていた。傍らに、年配で痩せ気味の、背広姿の男性が立っていた。
「こちらは、成田有理君の小、中学生時代の恩師、鴇田(ときた)先生。成田君を引き取って故郷の寺で弔ってくださるそうだ」
「離島の分校でね。神童と言っていいほど優秀な子だった。それが、こんな形で…」
「お悔やみ申し上げます」
「わざわざご息労いただきまして…」
後から来た三人が頭を下げた。
「先生、こちらは紅森刑事と黒夜叉刑事。それと…」
舞玖は、背丈は大人以上にあるものの、どう頑張っても学生にしか見えそうにないカイをどう紹介するか一瞬迷った。
「聖帝永和学院高等部二年、黒夜叉灰です。よろしくお願いします」
カイは礼儀正しく挨拶をした。
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