〈2〉カルトの陰謀と恋のライバル

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「恋人の皆川京介とは勤め先の店で出会った。教団と闇金の追っ手に怯える彼女に同情し、皆川の人脈で…言わば夜逃げをさせたそうです。仕事も住まいも変え、姓も人相も変えた。…東京で整形手術を受けています」 緋色は「山口里緒菜」の顔写真を「立花里緒菜」顔写真の隣に貼る。 一重の目に眼鏡を掛けた、ストレートヘアを無造作に束ねただけの地味で内向的な少女。 当時流行した髪色、髪型。長いまつ毛にぱっちりした二重…化粧のせいもあるのだろうが、整形前と後ではまるで別人だ。 「整形は教団から逃げるためか?それとも水商売のため?」 「それで借金したにしても額が多過ぎないか?利子が違法だとしても…」 「美人になると女ってのは金かかるんだ。怖いねえ」 「教団の金づるの一人だったんだろう。全額搾り取られる前に上手にへそくり作って逃げ出した」 「おい、静かにしてくれねえかな。当時の捜査班が怠けた分、情報集めんのにどんだけ足使ったと思ってんだ」 紅森刑事が一喝した。 「では黒夜叉君、やはり立花里緒菜は教団から逃げ切れずに拉致された、という見解かね」 捜査本部長が聞いた。 「それはまだ、何とも言えません」
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