〈2〉カルトの陰謀と恋のライバル

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「102号室。元信者だった笠松夫妻も引っ越してくる直前に教団を抜けていまが、カルトにありがちな信者が集団で追いかけて来てトラブルになった、などという話は一切聞かない。もっとも若気の至りで深入りしなかったのも幸いしたんでしょう」 「元信者アパートか。臭うな。佐々木家や先代の管理人もどこかで繋がってるんじゃないか」 「名前も顔も変えていたのは立花里緒菜だけ…笠松夫妻を覚えていて接触した可能性は?金に困ってゆすりとか」 「まて。教団だけじゃなく借金取りからも逃げてるんだぞ。警察に通報されるかもしれないのにそんな危ない橋渡るか?」 紅森刑事が反論した。 「それを言うなら、笠松夫妻が佐々木夫妻を車ごとダム湖に沈める理由もありませんよ。 もっとも、一度だけ互いの生活騒音を巡ってトラブルがあったようですが、当時の管理人さんが間に入って解決したようですし」 「あの爺さん、もうちっと長生きしてくれてたらなぁ。息子と来たらやたら横柄で偏屈な引きこもりだし」 「紅森さん、本人の前でそれ言ったらダメですよ。あれでも捜査協力者なんだから」
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