〈2〉カルトの陰謀と恋のライバル

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「黒夜叉君、やはり、成田有理の空白の5年間を追うべきでは?」 「わかっています。しかし、木は森に、人は人混みに…もし例えば東京や大阪や他の大都市を転々として非正規の日雇いやネットカフェで漂流していたとしたらかなり難しいような…」 「5年もすれば人の記憶もあやふやになるしな。しかしやらん手はない。彼のおじ夫婦が焼死した火事も再捜査になりそうだし。何か掴めるかもしれん」 「裏技になりますが、僕に…正確には僕の親族にちょっとした情報源が」 その瞬間だった。緋色のスマホが鳴ったのは。 「一体どうした?」 紅森は、会議室を抜け出した緋色の様子にただならないモノを感じた。 「ウチの弟が今、世界一のハッカーと戦っている、と言ったら信じます?」 「…は?」 「SD…『Sleepy Dragon』ですよ!日本人だとは思わなかったなぁ。しかも、『絶対真理の王国』の謎の教祖の正体かもしれない。なんでこんなワクワクすること、カイ一人でやってるんだろ?」 「は?ヤバイだろがぁ。日本で一番テロリストに近い連中、って言われてんだぞ。前科もあるし、最近はことにヤバイらしい。自殺志願者を募って、大企業や国家に特攻して集団自決、なんてことを言い出してる」
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