〈3〉凍える姫、眠れる龍

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(寒い…) あたしはずっと夢を見ていた。ミステリー研究会の部室。 カイは今日は、一日紅森さんと緋色さんの捜査について回るから学校には来ないと言っていた。漣斗もシエラもそれぞれ用がある…一人にはならないように、とも言われている。 それでもつい足が向いてしまい、部室の机でうたた寝してしまった。 ー風邪引くぞー カイに揺り起こされる…外はもう真っ暗だ。 ー来てくれたんだー あたしはカイを見上げ、ほっとして笑顔を向ける。 ーカイ、待って!どこいくのー カイの背中が無言で、どんどん遠ざかる。暗闇の中に呑み込まれていく。 ーーカイ!カイ!ーー 追いかけたいのに、足が動かない。 名前を呼びたいのに、声が出ない。 (……ここ、どこ……?) 意識が戻って来ても、辺りは真っ暗だった。ここがどこかはわからない。ただ、全然知らない場所だ、ということだけはわかる。 (寒い…寒いよ…)
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