〈3〉凍える姫、眠れる龍

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起き上がりたくても、身体を動かすことができない。誰かを呼びたくても声が出ない。ただ、闇の中で自分の吐く息だけが真っ白だ。 息をしているからまだ生きている、とかろうじて思えるが…、ただ、本気で凍死しそうに寒い。 (どうして?どうして…あたしはここに…) 身体は本当に凍りついているのか、麻酔でもかかっているのか全く動かすことができないけど…頭の中ならかろうじて働く。 あれは…(今の時間がわからないけど、たぶん今日の)放課後。 数オリと約束していたのに、担任の大迫先生がぐずぐずしていてホームルームが異常に延びてしまった。 そうでなければ普通クラスの方が先に終わると思ってたのに。 約束に大幅に遅れたあたしを、なんと、数オリが迎えに来た。 恐れていた通り、女子の大合唱と大ブーイング…。
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