〈3〉凍える姫、眠れる龍

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そして、シエラだけが「頑張って!」って送り出してくれたけど…。 「頑張るも何も…数オリの話聞いて帰るだけだし…」 「もうっ、アイ、ニブすぎ~!ま、いいや♪じゃあねっ」 シエラは久々に格闘技愛好会に顔を出すという。事件にも出くわしたけど、声優の夢も諦めてないらしい。 …いいな。夢中になれるモノがあるって。 「なんか…、騒ぎにするつもりなかったんだけど…ゴメン。今日はもう帰ろうか」 「ううん、うちのクラスいつもあんなだし、っていうか、話って何?」 「…いや、…また後にしよう」 「うん」 今から家に帰っても暇だなあ…。でも、最近毎日事件の話ばかりだったし。帰ったら、久しぶりに大好きだったビジュアル系バンドの曲でも聴こうかな。 「わと…愛莉は進路どうすんの?」 「決めてない…」 「マジで!?」 今まで不思議と殊勝だった数オリが、異人種を見るような目つきで聞き返した。久々に、上から目線復活。 「あり得ないだろ!?二年の二学期だぞ!何やってんだよ!」 「特進の子から見たら……そうかもしれないけど」
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