〈3〉凍える姫、眠れる龍

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カイのパソコンに映し出された動画のコピーが、ありとあらゆる動画サイトをジャックしたのはほぼ同時だった。 「愛莉!?」 おそらく硬質ガラスの箱の中に、黒い布にくるまれ、白い箱に横たわった愛莉の姿。画面の左上に“60,00”という時間が、そのすぐ下には、-0℃という温度が表示されている。そして、画面を覆う寒々しい冷気。 『さあ、これから、日本一、いや世界一にして最年少の名探偵と、これから、歪んだ世界を正しい方向に導く救世主の、推理ショーといこうじゃないか。君のプリンセセスを無事救い出せるかどうか』 「ふざけるな!なぜお前が成田有理の復讐をなぞっているか知らないが、愛莉は関係ないだろう! 」 『それではだめだ。全ては必然であり正義だ。謎を解け。10年前、5年前、現在…全てを』 「なんで愛莉を…!捕まえるなら僕にしろ!」 『君はねえ、部外者なんだよ。だが、その頭脳と華々しい経歴を讃えて挑戦者の資格をやる。遠からず対決は避けられないだろうからね。では、ゲームスタートだ』 ピ、ピ、ピ… 電子音が鳴り、カウントダウンタイマーが動き出す。温度計が-1℃を記した。
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