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「俺、この辺の廃病院とか詳しいですよ。医師会長の息子だし」
漣斗が紅森刑事に言った。
「…病院に冷凍室が…?」
「いえ。でも、ある程度の規模の病院なら家庭の冷凍庫以上の設備はあります。ただ、人一人以上入れられる大きさとなると…あっても大学や国の研究施設くらいじゃないかなぁ」
「いや、多くの病院にある液体窒素の沸点は‐196℃…。自分で冷却装置が作れる犯人なら、必ずしも部屋全体が冷凍装置である必要ないんじゃない?
現役で稼働している倉庫だと、足がつく可能性があるし」
数オリが言った。
「と言っても、それなりの機材や配線…ネット環境が必要だから、都市部かその近郊の…廃病院、テナントビル、大型店舗?」
「くそ、どんだけ探しゃいいんだ!一時間もねえんだぞ」
パトカーの中で紅森刑事が頭をかきむしった。
「…動画見てるこいつらの中に、廃墟マニアとかいねえかな」
漣斗がつぶやいた。
「いいな、それ。俺と漣斗で手分けして情報集めよう」
「にわかB.S.I.か」
「ワタシもやる!アイ、かわいそう…泣いてるし、唇が紫…」
シエラがふと気がついたように言った。
「花!ねえ、冷凍庫の中で花が萎れないって、不思議じゃない?」
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