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「カルト教団の教祖、なんてのによくありがちな話だけど、弟子には禁欲を説いておいて、自分はとんでもない俗物だったりする。…金に汚くて、愛人を何人も囲ってたり。
十代の頃から教団にしか居場所のなかった山口里緒菜も否応なしにその一人にされていた。しかし、愛人どうしの嫉妬から一番若い里緒菜は無一文のまま教団を追い出され、その後、妊娠に気づいた。
信者から吸い上げた金の力で政治にまで勢力を伸ばそうとした前・教祖派と、教団のカリスマ性が損なわれることを恐れた幹部の間で内紛が起き、内部告発がきっかけで教団は表向き自滅。
しかし、獄死した教祖を殉教者に祭り上げ、教団は地下で勢力を拡大させていた。その後、教団の古参幹部が怪死を遂げているし教祖は抹殺されたと僕は考える。
10年前、ネットを駆使して反教祖側の主導権を密かに握っていたのが成田有理だ。
『前教祖の子』という切札を武器に、山口里緒菜は成田に接触した。教団外に、裕福な家のお坊っちゃんだった皆川京介という『協力者』を得て」
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