〈4〉命懸けの推理ショー

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「山口里緒菜としては、何としても自分の本当の子…教祖の子を取り戻したかったから、興信所から裏の社会まで…あらゆる手段を使って子どもの行方を探した。夜の仕事や借金で作った金は恐らくその時に消えたんだろう。 子どもを探す過程で、当時森村総合病院で準看護師をしていた笠松美憂のミスだと気づいた里緒菜は、教団の影をちらつかせ、夫妻を脅し手段は選ばずに子どもを取り戻させることにした。 成田有理と佐々木一家が住む鳳雛荘に引っ越しすよう笠松夫妻は指示された。そして山口里緒菜から姓を変えた立花里緒菜もそこにいた。 失踪事件のおきた11月2日の晩、騒音トラブルの和解と称して佐々木家を笠松夫妻が訪れた…果物か生菓子…とにかくその日のうちに食べそうなものを持って。 真夜中。笠松夫妻は再び佐々木家に侵入し、大人二人が薬物で昏睡したのを確認する。赤ん坊ともども彼らの車で運び出した。恐らく盗聴機等で確認し、食べ残し等と一緒に回収したんだろう。鍵の開け方や侵入の仕方、現場の後処理は成田有理が化学の知識を駆使して行った」
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