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「TAKUMIさん」
カメラの隣で仁王立ちしていた
監督さんの眼鏡が、
冗談ではなく
ライトの反射でキラリと輝く。
さっきから絵コンテ通りに
動いているはずなのに、
監督さんは何度やっても
納得していない様子で。
何度も同じことをやらされる
(触ったところで止められる)
拓海さんのテンションが
ズリズリと下がっていくのを、
ただなんとなく
肌で感じることくらいしか
できなかった。
気付いたからって、
専門外のあたしには
何が正解で何が間違いかなんて、
全然判らない。
監督さんは意を決したように
絵コンテを手の中で丸めると、
それでビシリと
あたし達──正確には拓海さん──を
指し示した。
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