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「ねぇおじいちゃん」 「んー?なんじゃ?」 「なんでぼくにだけ見える人がいるの? なんでみんな見えないのかな・・・」 「お前は特別だからだ。お前は神様に気に入られとる」 「かみさまー?どこにいるの?」 「見たいか?ならこう喚べばいい・・・・・・・・・・」 _____________________________ ___________________ 懐かしい・・・。 今はもういない大好きだったじーちゃん。 両親や兄ですら気味悪がった僕に、唯一優しくしてくれた人。 これはいつ頃だったかな。 あの時なんて言ってたんだっけ・・・。 「恭平!!」 「あ・・・?」 「講義終わってんぞ」 そうか・・・いつの間にか寝てたのか。 顔を上げると懐かしいではなく、親友の顔が覗き込んでいた。 「恭平!カフェ行こうぜ!」 「・・・嫌だ」 「なんで!?」 お前がそう誘う時は決まってる。 「どうせ合コンの誘いだろ」 「お前・・・エスパーか?」 ・・・・・・・・・・・・さ、帰ろう。 「なぁ頼むよ!一生のお願い!」 大学を出てもしつこく誘ってくるのは、高校からつるんでいる親友、岩田雄介。 周囲の目などお構いなしに、大げさに手を合わせ頼んでくる。 「・・・お前の一生はどれだけあるんだ」 「今はお前が首を縦に振るまで」 そんな満面の笑みで言われても・・・。 全く悪びれない顔に溜め息が漏れる。 「僕が合コン嫌いなの知ってるだろ」 「お前がいると女の子の集まりがいいんだよ!なっ!頼む!!」 「・・・行けばどうなるか分かってるはずだ。面倒なんだよ」 本当に嫌なんだ。 群がる女も、それを見て嫉妬する男も。 雄介曰く、僕は所謂イケメンらしい。 スラリとした高い身長に、サラサラとした少し長い黒髪。 スベスベとした陶器のような肌に、切れ長で冷たげな眼差し。 しかも声までイイ!なんて言われても、僕は全然嬉しくない。 女にモテていい事なんて一つもなかった。 「今回は俺が守ってやっから!」 「・・・随分諦めが悪いな。 まさかもう僕が参加する事になってるなんて言わないよな?」 「・・・・・・・・」
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