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「・・・なんだ・・・ここ・・・・?」
気がつくと真っ白な部屋にいた。
四隅と中央に何かの像が置いてある。
ベッドに横になったのは覚えている。
寝たんだろうな・・・。
「それにしちゃ、随分リアルな夢だな」
「夢ではない」
「っ!!?」
いつの間にか背後に男が立っていた。
藍(あお)く長い髪を一つに束ね、見れば吸い込まれそうな碧眼はとても綺麗で・・・この男自体綺麗なんだけど・・・。
「久しぶりだ」
「は?僕はあんたに会った事はない」
なぜそんな寂しげな瞳を見せる。
それにこれは夢のはずだ。
「覚えてはないか。
そうだな・・・以前会った時、お前はまだ幼かった」
「・・・何度も言わせるな。僕はあんたを知らない」
幼かっただと?
いつの話をしてるんだ。
「恭平」
「・・・・・・」
「我を喚べ、恭平」
何を言ってるんだ。
「既に危機は迫っている。
最早放っておく事は出来ないほどに」
「危機だと?」
なんだ危機って。
「我が名は・・・・・・」
「なんだ、聞こえない!」
「我を喚べ・・・思い出せ・・・」
その言葉を聞いて目が覚めた。
いつもの自分の部屋にベッド。
やっぱりあれは夢だったんだ・・・。
「呼べったって・・・知らないしな・・・」
なんだろうこの拭えない違和感は・・・。
僕は本当にあの男を知らないのか?
大事な何かを忘れている気がする・・・。
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