【1】

6/16

7人が本棚に入れています
本棚に追加
/69ページ
別に・・・と答えてふと前を見ると、俯き酒も飲まず料理にも手をつけていない女が目に付いた。 他の女共とは違って、服装も髪型も違う。 それになんだ・・・誰も見ていない・・・いや・・・まさか・・・。 「雄介」 「んー?」 「あれは誰だ?」 「どれ?」 「あの端っこに座ってる女だ・・・」 「あー?そんな女の子いな・・・い・・・って・・・おい・・・」 雄介は僕をよく知っている。 普通の人では見えないモノを見ることだって知ってる。 だから・・・ 「悪い・・・帰る」 「ああ。さっさと行け」 理解してくれる。 椅子から立ち上がるとゾクリとした感覚。 いつもやってる気がつかないフリも見ないフリも、なんで今日に限って・・・ 「おい、恭平?」 なんで今日に限って見てしまうんだ! 「なにしてんだ恭平!?早く行け!!」 雄介の声が聞こえたのと同時に走って店を出る。 ゾクゾクとした感覚と、なんとも言えない恐怖感が僕を走らせる。 アパートまで行けば助かると!
/69ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加