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「櫻田さんは強い霊力をお持ちのようですが…使えないのでしょうか?」
「……使えるも何も、そんなものが僕にあるなんて始めて知った」
普通には見えないモノ…霊という存在が見えるなら、僕にはそういう力もあるんだろうなとは思うが……。
「そうですか……。では、櫻田さんの背後を守っていらっしゃる神の存在を感じてはいますか?」
「は?神?」
なんだそれ……神って何をいきなり。
「おそらく貴方をお守りしているのは、水を司りし神…其の名は『青竜』」
「せい……りゅう」
呟いた瞬間、腕についている外れないブレスレットから碧い光が辺りをつつんだ。
普通なら眩しいはずなのに、目を開けていられるのはなぜなんだろうか。
ただ……温かい光なのは感じる事ができた。
そして夢で会ったあの男と同じ色なんだと分かった。
光が治まり腕を見てみると、青い玉が光っていた。
淡く消えてしまいそうな光だったが、今までこんな風になったことはない。
「なるほど……櫻田さんを守護する方は相当なお力をお持ちの様ですね」
「あれが何だか分かったのか?」
「全て分かったわけではありません」
そう言って桐生は考えこんでしまった。
あの光を見て何も感じなかったわけじゃない。
夢に出てきた男は「呼べ」と言っていた。
しかし呼んで光るだけなのか?
何の意味があるのか全然わからない……。
「櫻田さん」
呼ばれ桐生に目を向けると、真剣な眼差しで僕を見て言った。
「これから私の家へ行きませんか?」
「いや……」
「櫻田さんが見てきた事、感じている事、疑問に思っている事…答えられるかもしれません」
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