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 けれど、タツオは必死にこらえた。闘いの白いガウンを着た少女を抱き締める代わりに、細い肩をぽんぽんと叩(たた)く。 「ぼくは死なない。須佐乃男の行く末をこの目で見るまでは、死ぬことはできない。夜になったら、また会おう」  タツオはサイコからちぎれるように身体を離し、階段を下りていった。いよいよ命がけの決戦とそれを見守る大観衆が待つ大講堂に向かう時間だった。
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