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 そのロボット兵器が氾帝国の平原やエウロペの都市国家群を平定していく姿を想像した。地平線を埋め尽くすのは無人の機甲師団だ。恐ろしい数の死者の流す血が見えるような気がした。遺体はどれもまともな形をとどめることはないだろう。ロボットが一般市民と軍人を厳格に選別するとは思えなかった。成人男性と子どもや老人を区別するとは想像できなかった。防衛兵器なら敵は攻め寄せる連盟軍だけだ。だが、戦場が敵国の領土になれば話は違う。須佐乃男は市民ごと敵を消し去る民族粛清(しゅくせい)兵器に転用される可能性がある。 タツオは歯ぎしりしながら唇(くちびる)の端から漏(も)らした。 「……攻撃型須佐乃男」  日乃元がそれほどの決戦兵器を生みだせば、氾帝国もエウロペ連合もアメリア共和国も北のシベリア連邦も、似たようなロボット兵器の開発に血道をあげるだろう。あまりに巨大な威力をもつ通常兵器は、かろじて誘惑に耐えている列強の核戦争への引金を絞る結果を生みかねない。
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