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マイザーの腕の中でヴィタはうなずいた。
あたりは静かで宇宙虫の鳴く声と2人の心臓の音しか聞こえないくらいだった。
マイザーは言った。
「少し歩かない? 灯りのないところまで行って星を見よう」
ヴィタが驚いたように言った。
「私も今同じことを思っていたの」
ヴィタがマイザーを見つめ、マイザーもヴィタを見つめる。
青い瞳と黒い瞳がお互いを映し合う。
そして恥ずかしそうに同じタイミングで笑った。
ベンチから立って2人は手を繋いだ。ヴィタの細い手とマイザーの分厚い手。
並んで2人は歩き出した。
ヴィタは少し背の高いマイザーを見上げて言った。
「私、今日の夜のことはずっと忘れないわ」
マイザーは優しく微笑んで言った。
「僕も今同じこと思ってた」
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