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しばらく押し黙った後マイザーは言った。
「やろうと思ってた。忘れてたんだ。ちゃんと考えてた」
ヴィタは言った。
「何を考える必要があるの？ あなたなら３０分あればできる。それを２か月経ってもやってくれなかった。私が急かすたびに面倒臭そうな顔をして『後でする』って言ってた。どうして３０分でできることを２か月もしてくれないの？」
マイザーは黙った。
ヴィタは言った。
「また黙るのね。いつもそう。黙ってその場をやり過ごそうとするのよ」
マイザーは言った。
「違う。何て言うべきか考えてるんだよ。そんなつもりじゃない。僕は今、君への不満に気がついた。君は僕が仕事でくたくたで帰ってきてもちっとも優しくしてくれない。君は自分のしたい話をベラベラ喋って相槌を打たなきゃ怒る。打っても怒る。どうすればいい？ 一生君の機嫌を取りながら生きていかなきゃいけないのか？」
ヴィタは口ごもった。
「そんな言い方……」
マイザーはさらに言った。
「さっきから聞いていればそうだ。アンテナの件は僕が悪かったけれどそれ以外は違う。『話を聞いて欲しい』『いい店に連れて行って欲しい』自分の要求ばかりだ。こっちの気持ちはおかまいなし。僕は君のなんなんだ？ 火星人は金星人を喜ばせるためだけに存在してるのか？」
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