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ヴィタは黙って下を向いた。
マイザーは少ししてから言った。
「悪い。いい過ぎた」
ヴィタは言った。
「別にもういいわ。あなたがそんな風に思ってたなんて思いもしなかった。知ることができてよかったわ」
ヴィタは壁にかけてある時計を見て言った。
「もう惑星間SL無くなっちゃったから明日出て行くわ。今日はソファで寝るからあなたはベッドで寝て」
そう言って部屋を出て行こうとしたヴィタの腕をマイザーが掴んだ。
「君がベッドで寝ろよ。僕がソファで寝る」
ヴィタがマイザーの腕を振り払った。
「いらないわ。離して」
ヴィタがマイザーを振り払った時にヴィタの爪がマイザーの腕に引っかかった。
「痛っ」
マイザーの腕に赤い線が出来て血が滲む。
ヴィタが眉を下げた。
「ごめ――」謝ろうとしたヴィタを遮ってマイザーは言った。
「何で金星人の爪はそんな不必要に長くゴテゴテしてるんだ? もういい。もううんざりだ。疲れた。ソファでも床でも好きなところで寝ればいい。僕は明日も朝早いからもう寝る」
背を向けて1人でベッドに入るマイザー。
ヴィタは何も言えずただその背中を見ていた。
そしてヴィタは静かに寝室から出てドアを閉めた。
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