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マイザーが言った。
「テーブルは君だよ。ほら手を上げて」
マイザーにうながされてヴィタが手のひらを上にして体の前に出す。
マイザーは言った。
「ほら。テーブルもある」
ヴィタはマイザーの肩を優しく叩いて言った。
「もう。意地悪ね。ピザの箱を食べてる間中ずっと持っていられるわけないでしょう。金星人は力がないのよ」
マイザーは言った。
「じゃあ君は僕が食べる分一切れだけ持っていてくれればいいよ」
ヴィタが言った。
「それじゃあ私が食べられないわ」
マイザーは言った。
「ヴィタには僕が食べさせる」
ヴィタが笑っていると、ふいにマイザーは真剣に言った。
「冗談抜きでね。これからは僕がヴィタを食べさせるからね。物理的にじゃなくて。意味わかる?」
ヴィタは首をかしげる。
マイザーはヴィタの首に顔を埋めて言った。
「僕はがんばって外で働く。ヴィタはこの家でニコニコ笑ってごはん作って待っていて。それだけで仕事がんばれるよ」
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