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マイザーはそこでおかしなことに気がついた。昨日床に置いてあったヴィタの大きなかばんがない。 寝室のクローゼットを開ける。 そこにはマイザーの服しかなかった。ヴィタの服が全てなくなっていた。 リビングルームに戻る。 よく見ればいろんなものが無くなっていた。 天井から下がっていたヴィタのお気に入りだったオーナメント。ヴィタのアクセサリー。食器まで。全てなくなっていた。 テーブルの上には金色に光るリングがぽつんと置かれていた。 「なんなんだよ! くそ!」 マイザーは手に持っていた花束を床に投げ捨てた。 花びらが数枚床に散らばる。 マイザーは頭を抱えて大きく息を吐いてつぶやいた。 「もういい」 寝室に戻ってベッドに潜り込む。マイザーはそのまま目を閉じた。
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