ヴィタとマイザー

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***** ヴィタが出て行った翌日。マイザーは職場の同僚であるカイと仕事終わりに飲みに行った。 カイは火星人。 カイは少し前まで金星人と一緒に暮らしていたが今はもう一緒に暮らしていない。 火星人と金星人が“ツガイ”になっても一生一緒にいる確率は50%。2組に1組が別れる。だから別に珍しいことではない。 大きなジョッキを片手にカイはマイザーに言った。 「これでよかったと思うぜ。やりたいことをやりたい時にできる。自分の服をどこに置こうが文句言われることもない」 カイはさらに言った。 「こんな店にも金星人とはこられない。あの星の奴らは“わかりやすく”大事にしないとすぐにキレる」 古い居酒屋。年のいった火星人が1人で切り盛りしている小さな焼きフクロウのお店だ。 カイは言った。 「あいつらは神経質で自己中心的。もう一緒に暮らすのは二度とごめんだね」 マイザーは何も答えなかった。そして少し困ったように笑って見せた。
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