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マイザーは心臓を打ち抜かれたような衝撃を受けた。
金星人の中でも水際立つ存在感。透き通るような金色の長い髪に白い肌。まるいおでこ。大きくて青い瞳。
仕方がなく来た宇宙船免許の更新。更新センターでまさかこんな金星人に会えるなんて、とマイザーは浮き足立った。
マイザーは緊張を目一杯隠しながらヴィタに話しかける。
「こんにちは。待ち時間長いですね」
ヴィタは軽く笑って答える。
「ほんとですね。もう2時間も経つわ」
彼女が目を伏せると金色のマツゲがキラキラと煌めいた。
マイザーは高揚した。ヴィタを見ているだけで胸が熱くなった。
マイザーはヴィタに言った。
「もしよろしければ一緒にお茶でもして待ちませんか? 下に喫茶店があるみたいですよ」
ヴィタはあたりを見回して少し考えて言った。
「そうですね。ここにいるより時間を置いて後にした方が良さそう」
マイザーは心の中でガッツポーズをした。ヴィタを連れて階段を下りる。
すれ違う火星人はみんな美しい金星人のヴィタを見ている気がする。
一般的に火星人はみんな金星人が好きだ。特に美しい金星人となると余計に。
マイザーは元々高い鼻をさらに高くして堂々と歩いた。
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