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夜食は私じゃダメですか
今日も、先生のお気に召さなかったようだ。
突き返された『それ』を私は啜る。
判で押したように終電の二本前の電車に間に合うように帰される。
人嫌いで有名な小説家、面馬先生の家に通うようになって三ヶ月が過ぎた。
秘書のような仕事をしている。
いや、そんなに良いものではない。
メールのチェック、取材の依頼を断る、犬の散歩、お茶、
要するに雑用だ。
あと、週末に頼まれる夜食。
カップ入りインスタントラーメンを出すこと。
『私の気に入るような状態で、夜食にこれを出してくれたら君を正式に雇う』
色仕掛けで迫って、雰囲気でこのままいけるだろうと思ったのに、そう言われたのだ。
胸をはだけて馬乗りになって、たしかに先生の目にも欲を感じたのに。
てっきり避妊具か、特殊な嗜好の道具を取りに行くのだと思って、絡み付けた脚をほどいたのに。
軽い音を立てて机に置かれたラーメン、それが今でも私の計画を邪魔している。
来客からは、どうせ愛人だろうという視線を感じる。
先生の書く小説には若い女を仕込むようなものもあるから。
生憎、まだ手も出されていないし
口もつけてもらってない。
ラーメンも。
私も。
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