淑女ラーメン【お汁は熱々】

刺激が足りないですか

「先生は、普段からのびたラーメンがお好みなんですか」

何気なく聞いてみると、かなりの間があった。

「いや、時折……懐かしくて」

「この間、テレビで見たんですけど。ある料理家がカレー味のインスタントラーメンをふやかせてカレーラザニア作っていました。」

その時に、先生の表情が変わった。

「そう、カレー味、か」

「ええ。あんな使い道があったなんて私知らなくて」

「使い道………!?ああ、使い道、ね。
すまないが、お茶を頼む」

キッチンでお湯を沸かしながら、先生の態度に疑問を持つ。

何か動揺していた……?

もしかしてカレー味が先生のお好みとか。

試してみる価値はある。

でも、どうすればアツくなるんだろう。

その週末、
カレー味のラーメン(十二分放置)をお湯入りの鍋ごと運んだら、先生は奥の寝室に持っていった。

すぐに出てきて、首を横に振った。

「やはり蓋は……」

そう呟いたきり、黙ってしまった。