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トロッコを降りると、高杉と黒いスーツの男達に挟まれるようにして、平松は錦戸の後に続いて崩れた壁に近づく。
一歩一歩壁へと近づくにつれ、まだ見ぬ得体の知れない存在に、沸々と平松の学者としての知識欲が湧き始める。
当然、メディアや一般社会に公表されているような物であるはずがなく、この国でも極一部の人間のみしか目にした事のない物である。
それどころか、この平松や錦戸に対する処置を考えれば、世界でも目にした者は極限られた人間だけであると考えるのが妥当であり、場所が場所であるだけに、他の国の人間には一切知られていない可能性も高い。
平松の中に沸々と沸き上がってくるそれは、子供がクリスマスの朝に、プレゼントの包まれた真っ赤な包装紙を破る時の感情に近いかも知れなかった。
平松が呼ばれたという事は、地質に関する物か、太古の遺跡のような物が発見された可能性が高い。
そして、錦戸がここに居るという事は、その地質か遺跡から生物の化石のような物が出土しているに違いないのだ。
否が応にも速まる心臓は血液をドクドクと全身に送り出し、逸る気持ちが緊張を呼び起こす。
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