Smells Like Devil Spirit

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―XXXX年8月20日、PM1:32 東京都あきる野市― 背後を山に守られるようにして建つ、場違いなほど巨大な施設の中の一室。 窓はないが、こんな真夏でも空調が適温に保ってくれている。 白髪の混ざったショートヘアーの男は、眉間に深い皺を寄せて使い捨てのコーヒーカップから口を離すと、それをデスクに置き、モニターの画面から目を離さずに自分の顎髭に手を持っていった。 縦二枚横三枚に並べられたモニターのうち、右側の四枚は今朝届いたばかりの映像が撮影角度を変えて映し出されており、左側の残りの二枚には、立体地図と、映像から入手したデータが文字の羅列となって次から次に上から下へと流れている。 「時間がないな」 男はぼそりと呟き、視線を外さずに再び湯気の立ち上るコーヒーカップに手を伸ばす。 カップに指が掛かった時、部屋のドアから二回ノックされる音が聞こえた。 男は視線をモニターに向けたまま、低いが張りのある声で「入れ」とだけ言ってコーヒーカップを取った。 油圧式の自動ドアがプシュッと音を立てて開き、「月島局長、天草ジンが到着しました」という声を聞いて、ようやく男はモニターから視線を外して部屋の入り口へと向けた。
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