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部屋の入り口には、ここの制服を着たスタッフと、私服をだらしなく着崩した高校生ぐらいの男子が立っている。
「それでは、失礼します」
スタッフは歯切れの良い声でそう言い残すと、忙しそうに部屋から出て行った。
再び、プシュッと音を立ててドアが閉まる。
「天草ジン、だな?」
月島局長と呼ばれた男は、残されたジンに確認しながら、デスクに置かれた資料と見比べる。
身長は176センチ、やせ形、少し癖のある茶髪に茶色の瞳、二重瞼で鼻筋が通っている。
「そおっすけど……なんで俺がこんな所に?」
ジンは気だるそうに頭を掻き、部屋を観察しながら中へと足を進める。
四十畳ほどもある部屋には、十人ほどが座れる巨大な楕円形のデスクが置かれ、それぞれの椅子の正面にはモニターが嵌め込まれている。
デスクの中心には何かの器械が取り付けられているようだが、おそらくは3Dホログラム映写機であろう。
その楕円形のデスクの正面に月島局長の座るデスクがあり、月島のデスクの上には月島勇(つきしまいさむ)と掘り込まれた銀色のネームプレートが置かれていた。
「もう一人が来たら詳しく話す」
月島はそう言って、またモニターに視線を戻した。
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