950人が本棚に入れています
本棚に追加
/844ページ
プラットフォームの下に停まっていたエンジンの付いたトロッコのような乗り物に乗ると、それはゆっくりと動き出した。
五人を乗せたトロッコは、すぐにプラットフォームを通り過ぎ、真っ暗なトンネルに突入する。
スピードが上がり始めると、湿った土の匂いと鉄の匂いが入り雑じり、高い湿度とともに鼻腔へと侵入してきた。
トロッコの前面にはライトが付いており、オレンジ色の光が前方のみを照らし出している。
「高杉総理大臣、ここはいったい……」
先程、「ここで見た物は一切他言無用」と言われたばかりで気が引けたが、平松は質問せずにはいられなかった。
これほどの地下深くに走っている鉄道などあるはずもなく、あのプラットフォームもあまりにも短く、出入口もあのエレベーターひとつだけだ。
それに、あのエレベーターは国会議事堂から直接つながっている。
国会議事堂に入って立ち入り禁止区域を進み、二度の身体検査と署名をさせられ、ようやくあのエレベーターへとたどりついたのだ。
当然、公にされているものではない。
国会議事堂の下にこのような場所がある事をマスコミが知れば、大喜びして色々と空想を書き立てるネタにするに違いなかった。
最初のコメントを投稿しよう!