Smells Like Devil Spirit

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どくん、とシートに背中を預けているジンの心臓がアナウンスに反応する。 手のひらが汗ばみ、座席の肘置きがぬるぬるとした感触に変わっていく。 コントロールルーム前面にある三枚の巨大モニターには、セーレの進行方向にある壁が開かれていく様子が映し出されていた。 「なに? ジンったら珍しく緊張しちゃってんの?」 隣の座席にいるるるかの声に、ジンが少し体を起こして視線を移す。 「お前も顔ひきつってんぞ」 ジンがひきつった笑いを浮かべて言い返すと、るるかは「ひきつってなんかないわよ」と頭をヘッドレスにピッタリとくっ付けたまま答えた。 『出動準備完了まで、残り、五秒。発進カウントダウンへ移行します』 ジンは自分の頭をヘッドレスに戻し、発進を待つ。 それまでの機械的なアナウンスから、女性スタッフの声に変わる。 「発進まで10秒、カウントダウンを始めます」 耳鳴りのようなセーレのエンジン音が、どんどん高くなっていく。 「発進まで、5」 「4」 「3」 「2」 「1」 次の瞬間、信じられない程の圧力がジンとるるかの全身をシートに押し込んだ。
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