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『……はオールクリア。安定飛行を確認。目的地まで……』
再び機械的なアナウンスが流れ、ジンはようやく我に返った。
いつの間にか、コントロールルーム前面の巨大モニターには連なった山々を見下ろす風景が映し出されていた。
「マジでハンパねぇな……」
ジンがシートから背中を剥がしてるるかを見ると、るるかはまだ口と目を丸く開いたまま呆けている。
「おい、るるか」
名前を呼ばれてようやく気が付いたるるかは、慌ててヨダレの溢れそうになった口を閉めて唇を拭った。
「ちょっと、死ぬかと思ったじゃない」
るるかは恥ずかしそうにそう言うと、巨大モニターに目をやった。
ジンも再びモニターに視線を移す。
このスピードならば、ゴーレムの出現した雲取山まではそう時間もかからないはずである。
「アークレイド、発進の準備を急げ」
一段高い座席にいる夕凪の指示が飛ぶと、巨大モニターの右にワイプが現れ、待機中の二体のアークレイドが映し出された。
「ジン君、るるかちゃん、二人ともこっちへ来て」
いつの間にかコントロールルームの後方に移動していたカナが二人を呼んだ。
ジンとるるかが慌ててシートベルトを外す。
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