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地獄時間、午前0時。
私はレンガ作りの廊下をまっすぐ見ながら隣のいる友人と歩きながら目的の場所に向かっていた。
「やはり届いていましたか」
「ああ。白とも黒ともつかん。第一、閻魔帳に名前が書き込まれなかった魂だからな」
「今の世の中では、そういう魂もあるでしょう」
私はそう言いながら目の前の重い鉄の扉を開いた。
扉を開いた先には、ポカンと一つ青白い塊がフワフワと浮いていた。
魂は部屋の中をきょろきょろと見回している。
「これが、そうですか?」
「ああ」
私は隣の大柄な友人と一緒に魂まで近づいた。
「あ、あの!」
青白い魂は私と彼を交互に見ながら問いかけてきた。
「はい?何でしょう?」
私は静かに答えた。
返ってくる問いかけは分かっていても、魂が混乱しないように順序良く話を進めないといけない。
「俺、死んだんですか?」
「ええ。そうです。ですが、なぜ死んだのか分かり兼ねているところです」
「…お、俺だって分からない」
「そうだろうな。出なきゃ、ここには入らなくていいんだからな」
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