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「はぁ~やはり、あなたの声はいきなり聞くとびっくりさせてしまうのですね。いいのか悪いのか…私は慣れてしまいましたけど、始めて聞く人には刺激が強いようですね」
私は人差し指を額に当て、顔を左右に振る。
「仕方ないだろ。もともとこういう声なんだ。迫力があっていいだろう?」
自慢げに手を腰に当て、ニッカっと笑う彼は、あどけない。
「まぁ、そうですね。そうそう自己紹介をしてあげて下さい」
「はぁ、さっき聞いただろう?」
私は静かに彼を横目で眺めた。
彼は、一つ咳払いをして答える。
「オホン!俺は、緑深(りょくしん)。人の魂を扱う者。人間界では閻魔大王と呼ばれているな」
「えっ!!え、閻魔大王!!嘘をつくと舌を抜かれるっていう?」
いつものことながら、人と言うのは昔から使われていたり、伝えられている言葉に非常に敏感だ。
「おいおい。そんな、抜きに行ってる暇なんてないぞ!」
すらりと緑深は答えた。
いつものことながら彼の人間界での印象はあまりよくないということは天界の者なら承知の上。
ですが、人にしてみれば、怖いものなのでしょう。
「緑深。そんなに力まないで下さい」
「うん?ああ、そうか……すまん。仕方ないことだからな」
緑深(りょくしん)は半ばあきらめた様子で魂に謝った。
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