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たけしは自分の居場所を探すかのようにあたりをきょろきょろと見渡し眼下の3人の黒い服を着て歩く女性たちに向かって急降下し始めた。
たけしはなりふり構わずスピードを上げて降下していく。
「お、おい!」
緑深は慌てて後を追った。私も2人の後を追いかけ静かに下りていく。
彼は3人の目の前に停まりキョロキョロと眺めながら呼びかけていた。
「真由美。和美。凛子。どこに行くんだ?」
3人の女性の中で、まだしっかりしてそうな女性が叫び、目にたくさんの涙を溜めて今にも倒れそうな女性が泣きながら続けた。
「あの、バカ!車に飛び込むなんて何考えてんだか!」
「たけし……自殺なんて、なぜ?」
2人が交わす会話にたけしはおろおろしていた。
「ま、ま、まさか……本当なのか?」
私と緑深は彼を間に挟むようにして彼女たちの前に降り立った。
それと同時に、3人の女性は私達をすり抜けて行った。
「本当だよ。お前の葬式に行くんだ」
「ええ!!」
「さっき、言わなかったか?死んだんだって!」
「だ、だけど……」
私は未だに自分の状況に判断が出来ていないたけしを見つめながら、緑深に答えた。
「緑深…」
「なんだよ」
「ちょっと状況が違うかもしれません。たけしは、もしかしたら…」
「は?何言っている?あの子たちが話している通りなんだろ?」
「ええ。警察の捜査上はそうなっているみたいですね。ですがまだ終わっていないようです」
「はぁ?警察がちゃんと捜査をして自殺と判断したんだろ?」
私たちはボーっと宙を眺める事しかできないたけしをよそに話をした。
「…真由美・和美・凛子。俺、死んだんだな…」
「たけし、決断するのは早いかもしれませんよ。ちょっと警察の手助けをしてみましょう」
「おいおい!」
小さくため息をつく緑深をしり目に私は少しウキウキと答えた。
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