第6章

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   「お土産よろしく。甘いヤツな?」 「……っ」 そのコウくんの言葉に、なぜだか無性に腹が立って。 「だから、違うって言ってるでしょ!!今日は、砂川さんの部屋に泊まりにいくの」 気がつけば、歩き出したコウくんに向かって、声を荒げてしまっていた。 ……ああ、もう。 わざわざコウくんに、言わなくてもいいことなのに、どうしてムキになってしまったんだろう。 想像通り、コウくんは満面の笑みで振り向いて。 それから、何も言わずにまた会社に向かって歩き出した。 「遅れてごめんね」 待ち合わせの駅のコンコースに、五分遅れで現れた砂川さん。 「わたしも今来たところですよ」 そう言って笑って、一緒に歩き出した。
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