第1章

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   わたしの気も知らないで。 ううん。まだ好きだなんて、知られても困るんだけど。 ……コウくんに告白して、早四年。 わたしに彼氏が出来ないことを心配したコウくんは、「優奈にお似合いの男を紹介する」と躍起になっていて。 どんなに断っても、定期的に食事会という名の合コンに強制的に参加させられるのだ。 ねぇ、コウくん。 こんなに近くにいるんじゃ、他の人を好きなるなんて、やっぱり無理だよ。 告白したあと、コウくんは週一でわたしの家に顔を出すようになった。 コウくんは、わたしのお母さんが作るおはぎが大好物で、それを目当てに度々遊びにきていたけれど、少し頻度が増したように思えた。 きっと。 わたしがヤケになって、好きでもない人と付き合うのが嫌だったんだよね。 そんなこと、するはずないのに。
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