第6章

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      デートの日は、朝からそわそわして落ち着かなかった。 日曜日は砂川さんに用事があるため、金曜日に居酒屋デートをして、そのあと砂川さんの部屋に泊まることになっている。 出社したわたしの大荷物を見て、まりこちゃんは全てを察したようにニヤリと笑って近付いてきた。 「頑張って下さいね」 「う、うん」 何を頑張ればいいのかわからないけど、赤面しながら相槌を打つ。 「今日、何時に待ち合わせですか?」 「七時」 「急ぎの仕事があれば言ってくださいね?」 「うん。ありがと」 いつものように、まりこちゃんと仕事を分担して進めていくけど。 今日に限って、上総(カズサ)さんが事務所から出て行かない。 これは、定時間際にグダグダ言ってくるパターンじゃない?と思っていたら……。 「あ、やっべ、これ忘れてた!!」 わざとらしい声を上げて、わたしに視線を走らせる上総さん。 すかさず、まりこちゃんが「今日、わたし達残業しませんよ?」と牽制する。
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