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「そんな意地悪言わないでよ、宮澤さん」
デレデレした口調の上総さんに、思わず吹き出してしまいそうになる。
わたしに対する態度と全然違うじゃない。
いつも手伝ってるのは、わたしの方なのに。
心の中で悪態を吐きながら、笑顔をつくることは忘れない。
「自分で出来ないことなんですか?」
嫌味を込めて言ってみると、上総さんはあからさまにムッとした表情でわたしを睨んだ。
あ、ちょっと、マズイかも?
そう思った瞬間
上総さんは、音もなく立ち上がると、わたしの方に近づいてきた。
「な、なんですか?」
上総さんが放つ怒気オーラに、怯んでしまいそうになる。
「今日、何か用事ある?」
「……は?」
何それ?仕事?
それとも、またワケのわからない相談とか言い出すの?
「き、今日はデートなんです!!」
上総さんに聞こえるぐらいの声量できっぱりと言い切ると、
上総さんは何か言いたそうに口を開きかけて、それから無言で自分の席に戻っていった。
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