第6章

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    「そんな意地悪言わないでよ、宮澤さん」 デレデレした口調の上総さんに、思わず吹き出してしまいそうになる。 わたしに対する態度と全然違うじゃない。 いつも手伝ってるのは、わたしの方なのに。 心の中で悪態を吐きながら、笑顔をつくることは忘れない。 「自分で出来ないことなんですか?」 嫌味を込めて言ってみると、上総さんはあからさまにムッとした表情でわたしを睨んだ。 あ、ちょっと、マズイかも? そう思った瞬間 上総さんは、音もなく立ち上がると、わたしの方に近づいてきた。 「な、なんですか?」 上総さんが放つ怒気オーラに、怯んでしまいそうになる。 「今日、何か用事ある?」 「……は?」 何それ?仕事? それとも、またワケのわからない相談とか言い出すの? 「き、今日はデートなんです!!」 上総さんに聞こえるぐらいの声量できっぱりと言い切ると、 上総さんは何か言いたそうに口を開きかけて、それから無言で自分の席に戻っていった。
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