第6章

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     砂川さんが連れていってくれたのは、雑居ビルの地下にあるベトナム料理店だった。 カジュアルな雰囲気の店内はテーブルのみ、隣の席との距離も十分でリラックス出来るつくりになっていた。 オーダーしたのは生春巻きと揚げ春巻き、春雨サラダそれからパインセオ、最後にお腹に余裕があったらフォーも追加オーダーすることにした。 「どう?」 生春巻きを食べたあと、窺うようにわたしを見詰める砂川さんに、「美味しいです」と、ニコリと微笑む。 「よかった。ここ、会社の女の子に、デートにおススメのお店だって教えてもらったんだ」 「……え?」 それって、会社でわたしの話をしたってこと? プライベートなことを話すように見えないのに。 なんだか、意外。 「ん、なに?」 「いえ、会社でわたしの話をしたのかな?って思って……」 「ダメだった?」 「いえ。ただ、がっかりした人もいるだろうなと思って」
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